振付家:ダミアン・ジャレと彫刻家:名和晃平が共作のダンス作品『 VESSEL 』が2019年4月〜5月に欧州4カ国(ベルギー・英・仏・オランダ)で巡回。身体と彫刻が融合する野心的な舞台の音楽を、原 摩利彦(作曲家/サウンドスケープ・アーティスト)が、エレクトロニック・サウンドスケープで表現。

■ 身体(動)と彫刻(静止)が融合する野心的な作品として、2014年から共作をスタート。これまで5回の公演を重ねるごとに進化を遂げてきたプロジェクトが欧州へ。

 

世界的でもっとも先端的な振付家の1人ダミアン・ジャレ(ベルギー)と、昨年ルーヴル美術館で新作を発表したことが記憶に新しい彫刻家の名和晃平(日本)。この2名が2014年に共作をスタートし、上演を重ねるごとに進化し続けているダンス作品 『 VESSEL 』が、2019年4月〜5月に欧州4カ国で巡回公演を行う。巡回先は、ブリュッセル(ベルギー)〜ロンドン(イギリス)〜 レンヌ(フランス)〜アムステルダム(オランダ)。

 

『 Vessel 』は、「コンテンポラリー・ダンス」の制約を超え、身体(動)と彫刻(静止)が融合する野心的な作品だ。2013年にジャレが名和の作品を見たことがきっかけでジャレが名和に「何か一緒にやろう」と声をかけた。2014年には、京都でフランス政府が運営するアーティスト・イン・レジデンス「ヴィラ九条山」のプログラム支援を受け、ジャレが日本に3ヶ月滞在し、本格的な共同制作を開始し、ダンサーを初めとするプロジェクト・メンバーを招集。

 

原 摩利彦(はら まりひこ・作曲家 / サウンドスケープ・アーティスト)は、その一員として音楽を担当(音楽特別参加:坂本龍一)。抽象的で重厚なエレクトロニック・サウンドスケープで、コンセプチュアルな作品を支えた。これがきっかけで、ダミアン・ジャレから2018年の新作《 Omphalos 》音楽のオファーを受け、坂本龍一とともに共作を行なった。

他プロジェクト・メンバーには、ダンサーのエミリオス・アラポグル、俳優の森山未来、照明の吉本有輝子などが参加。

 

2015年にクリエイティブセンター大阪で小規模な試作公演を経て、2016年・ロームシアター京都で世界初演。その後、2016年・犬島(岡山)、2017年・横浜ダンスコレクション(横浜)、2018年・パース(オーストラリア)と上演を重ねるごとに、プロジェクト的にも進化を遂げてきた。そして、2019年。日本でスタートしたコラボレーションが欧州に渡る。

 

 

■ ” サウンドトラック ” だけでなく、“ アトモスフィア ” としての音が、

舞台で重要な効果を出してくれた。

 

『 VESSEL 』の根底にあるのは、世界における様々な二極性の境界を探求することで、「重力」と拮抗する(変容)ということだ。コンセプチュアルだが、舞台として、振り付け、美術、身体、ダンス、音楽、照明、が見事にバランスし、アーティスティックな効果を出している。

 

登場する7人のダンサーのほぼ全員が終始して頭部を見せない「ヘッドレス」というポーズをとりながら動く。「人」というアイデンティティがない状態で、ダンサーは様々なフォルムでからみあい、動き、離れる。オーディエンスは、そこにシンボリックなイメージを垣間見ながらも、得体の知れない生命体/モノのような抽象的な「動き」を感じ、二極性が振動し、ゆらいでいく。

 

 

 舞台は黒い床に水をはってあるので、ダンサーが動くと波紋が生まれ、動かないと水面が鏡となり、もう一つの体が浮かび上がります。音楽は、抽象的なエレクトロニック・サウンドスケープをメインに、シーンの振付にリズムをぴったり合わせる部分やメロディアスなパートもあります。振付と音が同期する部分もあれば、そうでない部分もあります。

 

 ”Flora” と呼ばれるシーンでは、ダンサーが仰向けになって手と足をあげ、そこに別のダンサーが重なり、複雑に体を組み合わせます。ダンサーにとっては、きっともの凄くしんどいシーンです。エモーショナルになりすぎず、色があるようでない花のようで、非常に美しい。このシーンでは、呼吸をするような音がダイナミクスで 広がっていきます。大音量で混沌としながらも、美しいエレクトロニック・サウンドスケープが顕れました。

 

 音楽は ”サウンドトラック”(振付という主役があって、そこに付随する音をつける)ということだけではなく、“アトモスフィア”(舞台の中で起こっていること完全同期しない全体の音環境)を創出することが大事な役割。当たり前のことではあるけど、そこをサウンドスケープとしてやってみたら、良い効果が出た。

 

 一方で、振り返ってみると、空間に漂う霧や煙のような音を作るというイメージで、空間を包み込むサウンドスケープと霧のような音を空間に放つことで、舞台の他の要素と絡み合って(関係しあって)ひとつの空間を作ることもやってるように感じます。

 

 この辺の考え方は、この時も、今も、流動/変化していて、ある段階でスナップショットのように言語化して言い切るのは難しいですが、1つのエレクトロニック・サウンドスケープ表現ができたのではないかと思っています。

 

                                                                                 – – 原 摩利彦・談

 

 

■     『 VESSEL 』(ヴェッセル)

URL:  https://www.vessel-project.com/

 

世界各地を訪れ、その国の神話や土着的な信仰や儀礼などのイメージをダンスに取り入れ、肉体と精神の相克をダンスのなかに映し出してきたジャレと、様々な素材や技法を駆使し、イメージと物質性を両立させながら、有機的な世界観を彫刻やインスタレーションで表現してきた名和。2人は本プロジェクトを通して、生と死、大地と生命の循環、その全てのバックグラウンドとなる「Vessel」(器|船)を、本作品の基本概念と位置づけ、気体・液体・固体に至る物性の幅を有する舞台美術と、動的に「態」を変え続けるダンサーの肉体との融合に挑んだ。

頭部を見せない「ヘッドレス」という特徴的なポーズは、性別や出自に匿名性を与え、人ではない「何か」の存在を示唆している。その彫刻的な身体表現を通して描かれる世界観は、舞台という一つのジャンルを超え、今後も様々なフィールドでの展開が期待されている。

名和のてがける舞台美術では、黒い床に水がはられ、中央の白く中央が窪んだ小山の中に固まったり液状になったり、液体と固体を行き来しトランスフォームする素材がある。これがダンサーの身体と絡み合い、「”生と死” “エロスとタナトス” といったものが同時にあり、それが表裏一体になっているような」大きな役割を果たす。

 

<ダミアン・ジャレ>(振付家・ダンサー)

世界的に活躍するインディペンデントの振付家、ダンサー。

これまでに、数々の振付家やダンスカンパニーと共演、共作している。主なアーティストやバレエ団に、シディ・ラルビ・シェルカウイ(『バベル』『Aleko』『Sin』『ボレロ』『テズカ』を共同制作)、ウィム・ヴァンデケイビュス(『天国と地獄の日』)、アクラム・カーン(『デッシュ』)、パリ・オペラ座バレエ団、サシャ・ワルツ & ゲスト、レ・バレエ・セ・ド・ラ・ベー、ヨーテボリ・ダンス・カンパニー、アイスランド・ダンス・カンパニー(『トランスアクアニア』)、スコティッシュ・ダンス・シアター、エルナ・オーマスドテル、チャンキー・ムーヴ (『ブラック・マロウ』)、などがある。

ミュージシャン、演出家、映画監督、デザイナーなどともコラボしており、アントニー・ゴームリー、ジム・ホッジス、アーサー・ノウジシエル、ニック・ナイト、クリストファー・ドイル、フェネス、エディターズ、フローレンス&ザ マシーン、オルロフ・アルナルズ、レディー&バード、バーナード・ウィルヘルム、リカルド・ティッシュなど。2018年、ルカ・グァダニーノ監督の映画『サスペリア』でコレゴグラフィーを担当しており、日本では2019年1月に公開予定。

教師として、ピナ・バウシュ率いるカンパニー・ヴッパタール、ウィーンのインプルスタンツ、キャロライン・カールソンのアトリエ・ド・パリ、ニュー・ヨークのパネッタ・ムーヴメント・センターなどで教えている。

2013年には、フランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエ章を受章。オリバー賞、アイスランドやドイツにて最優秀振り付賞受賞など受賞歴も多数。

 

<名和 晃平>(彫刻家)

1975 年大阪府生まれ。京都を拠点に活動。京都造形芸術大学大学院芸術研究科教授。1998 年京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻を卒業。2000 年同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2003 年同大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2011年東京都現代美術館で個展「名和晃平‐シンセシス」開催。ビーズやプリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなどの現代的な素材を用いて、造形の新たな可能性を切り拓く。2009 年より京都にて、建築家、写真家、デザイナーなどのクリエイターと、横断的な創造活動を行うプラットフォーム「SANDWICH」のディレクターをつとめる

■『 VESSEL 』2019年 欧州ツアー

● 2019年4月2日(火)~3日(水) ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)・・ブリュッセル(ベルギー)
● 2019年4月16日(火)~17日(水) サドラーズウェルズ劇場・・ロンドン(イギリス)
● 2019年4月23日(火)~25日(木) ブルターニュ国立劇場・・ レンヌ(フランス)
● 2019年5月14日(火)~15日(水) アムステルダム市立劇場・・アムステルダム(オランダ)

 

<プロジェクト・メンバー>

振 付 : ダミアン・ジャレ
舞台美術 : 名和晃平
音 楽 : 原 摩利彦(特別参加 : 坂本龍一)
出 演 : 森山未來、エミリオス・アラポグル、浅井信好、森井淳、皆川まゆむ、三東瑠璃、戸沢直子

 

[ 過去の公演 ]

● ワークインプログレス

① 2015年7月 クリエイティブセンター大阪(大阪)

● 世界初演

② 2016年9月 ロームシアター(京都)

● ツアー

③ 2016年10月 犬島(岡山)

④ 2017年1月 横浜赤レンガ倉庫1号館 / 横浜ダンスコレクション2017(横浜)

⑤ 2018年3月 パースフェスティバル(オーストラリア)

 

 

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