月記 2021年1月
  • Essay
  • 月記

 | 

Jan 31, 2021

ある朝の離乳食中に約8カ月になる子どもが小さな声でパパパパと言い出した。口のあたりだけで鳴っているような微細な音だったが、次の日の明け方には「パ!」とはっきり言えるようになった。きっと初めての言葉は「ママ」と思っていたけれど、もしかすると「パパ」かもしれない!と今、少し期待しながら緊張している。

それから口が気持ち良いのか、よく「パパパパ」と言いながら遊んでいる。まだ「パパ」の意味はわかっていなさそうだが、時折私の顔を見つめて「パパ」と言われると、にやけてしまってしばらく時が止まる。ところが病院で予防接種をうけたとき、診察台で「ママァァァァァァーーー」と大泣きした。そこは「パパァァァァァァ」じゃないのか、と思った。

子どもの口元をガーゼなどで拭く時に、七福神と掛けて「クチフクジン」と私は一人で言っている。とても縁起がよく、何より口が気持ちいい。

 


 

学生時代、1月の後半になるとなんだかだるくて憂鬱な日が続き、節分の日に驚くほどすっきりしたことがあった。たまたまだろうけれど、調子の悪かった時期は土用の期間だった。それ以来、冬の土用のことはちょっとだけ意識するようになってしまった。社会に出てから1月は忙しい月なので、あの時のような不調はないが油断しないように気をつけている。数年前にダムタイプの展覧会の設営でフランス・メッスのポンピドゥーセンターにしばらく滞在したとき、ちょうど土用であったが全く大丈夫だった。仕事に集中してたのももちろんだが、これは風土に関係あるんだろうなと思った。

 


 

昨年から取り掛かっていた3つのプロジェクト作曲が終わった。2つはまだ情報解禁前だが、1つは春に世田谷パブリックシアターと北九州芸術劇場で上演予定のidevianの新作ダンス作品《義務》。全編書き下ろしになった。idevian主宰者の井手茂太さんとはNODA・MAPの現場でいつも一緒だが、idevianでお仕事するのは初めて。とても強いビートの曲が多いので劇場で鳴るのが楽しみだ。

1月29日にはMarihiko Hara & Polar Mの久しぶり新譜《Our Season》がリリース。

 


 

今月印象に残ったのは、中村明蔵 著『隼人の古代史』(吉川弘文館)、斎藤幸平 著『人新世の「資本論」』(集英社新書)、映画『Call Me By Your Name』、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』、『1917』、『THE BANKER』。